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CHUMS アーティストコラボ SHINJIRO TANAKA
点や線など原始的なモチーフを用いて自らの死生観や命の繋がり、人間の持つ可能性などを主題として表現しているアーティスト、 SHINJIRO TANAKA。
自らのダンサーとしての経験から、その作品には音楽的リズムを伴った構造や色彩など躍動感が見られる。
このデジタル時代において、アナログな身体の重要性を再評価して、遊び心を持って他者と繋がることの素晴らしさを伝える 「Re:Play」というコンセプトのもと生まれた〈CHUMS〉とのアーティストコラボレーション。
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SHINJIRO TANAKA田中 紳次郎

1985年ロサンゼルス生まれ。
プリミティブなモチーフとリズミカルな表現を通じて人生の深淵を探求するマルチメディアアーティスト。
ニューヨークでの多様な経験に影響を受け、彼の作品は動きと多文化的な影響を融合させている。

Re:Play

"Re:"は「返信」を意味する語であリ、他者が存在することの証左。
そして、そこに“Play"を足すことで人々が忘れかけている遊び心を再び取り戻してほしいという願いが込められている。
AlやWebなどの発展に伴い、生活はより一層デジタル化されていく中コロナ禍も相まって人々の身体的接触は避けられるようになった。
そして現在、他国の争乱や不況などによる経済的な不安も高まり人々のつながり方は急速に変化し、他者に対する関係が希薄になってきている。
デジタル時代において、アナログな身体の重要性を再評価し日常の美しさを再認識するとともに遊び心を持って他者と繋がることの素晴らしさを伝えることができれば幸いだ。
  • Monochrome

    モノクロームは、単一の色で図画などを描くこと、またはその図画自体を指す。
    語源はフランス語で「単色」を意味する言葉。元々は美術の分野で使われた。
    白黒な毎日?よく見たら何か楽しいものが隠れてるかもしれない。

  • Evergreen

    Evergreenとは常緑樹のこと。転じて、年齢に関わらず常に若々しさを保っている様を指す。
    いくつになってもこどものような素直な心でみんなが楽しめるそんな世界ができることを願って。

  • Rebirth

    過去、現在、未来。
    過去に囚われて現在を生きるのか、よりよい未来をめざして現在を生きるのか、過去も未来も置いておいて、今この瞬間を花火のように輝かせるのか。

  • The Building Blocks of Life

    今の自分を構成するのは、これまでの命の歴史。
    すべての人々が共に理解しあい生きられたなら、もっともっと彩りのある世界が待っている。

Interview with SHINJIRO TANAKA

アートに向き合う態度や姿勢が重要で、
そこに純粋な心で向き合うことが大事
―― ご自身の作品が生まれたきっかけを聞かせてください。
学生時代はダンスばかりで、絵とは無縁でした。しかし、震災の起きた2011年にダンス友達が石巻に行っていたので、バイクで9時間半かけて石巻へ向かいました。そこでボランティアをしながら、多くの人々に会いました。さまざまな背景を持った人たちと、行政の支援グループではなく、自由に動けるボランティアグループの中でいろんな経験をしました。その時、友達に「これからどうしたいの?」と聞かれ、アートやデザイン、ダンスに挑戦したいと答えました。彼に「心が震える方を選べ」と言われ、会社を辞めることを決意しました。会社からは引き止められ、親ともめましたが、自分の心に従いました。
そして、翌年の1月23日にニューヨークに行くことを決めて、最初の2年間はパーソンズのCertificate program(夜間プログラム)でグラフィックデザインを学びながら、昼間はウエイターをして働いていました。とにかくスキルを身につけることに専念していました。それに、ダンスチームのためにデザインして作った服を売ったりもしていましたね。
―― そこから転機となったことはありますか?
エンターテイメントが好きで、ダンスとテクノロジーを合わせた面白いことをやりたくて、バーでいろんな人に話しかけていたら、隣に座っていた人がプロデューサーを知っていると言ってくれて、グラフィック系のアシスタントとして入り、いろんな雑務をこなしました。投資家を探したり、チケットを売ったり、ウェブサイトを作ったりと、何でもやりました。そういった経験が今の仕事にも役立っています。
―― その時点ではまだ作品を発表していなかったんですか?
そうですね、服を作ったりはしていましたが、アート作品を本格的に作り始めたのはニューヨークのにいる後半の時期からです。最初はアートに対して詳しくなくて、ポスカくらいしか使ったことがなかったんです。でも、ルームメイトと一緒に毎日絵を描くようになり、少しずつ練習していきました。最初はペンから始めて、線を描くことが多かったです。
―― 点や線から始めた理由は何ですか?
点や線は誰でも使えるものですが、それが何にでもなりうるという点に魅力を感じました。自分自身もそこから可能性を広げてきました。最近はデジタルを混ぜたものもありますが、コンセプトはずっと一緒です。点や線といった原始的なものが何にでもなるので、日々取り組んでいて面白いと感じています。
―― CHUMS のコラボアイテムについて教えてください。
ブービーバードやハート、CHUMS のロゴなど、遊び心を取り入れたデザインを意識しました。このコラージュ「Rebirth」には僕の3人の子供たちが描いた部分もあります。ハートは娘が描いたもので、星は次男、ブービーバードの文字は長男が描いています。家族をイメージして作った部分もあり、家族とのコラボレーションによって意味のある作品に仕上がったと思っています。
―― コラージュはどのようにしていますか?
デジタルで描いたものをコラージュするという方法をとっています。もともとは過去にあった作品を破り捨てて、全て再構成したものを作るということがコンセプトです。これは過去の自分と現在の自分、そして未来に希望を持ちながら作るという複数のタイムラインを一つの作品に落とし込むというものです。
―― 総柄のデザインはどのように作られたのですか?
デザインはデジタルで描きました。よく見ると、〈CHUMS〉と描いてあって、このスタイルは自分の中で比較的新しいもので、点や線といったミニマムな要素で構成しました。
―― 石のモチーフ(The Building Blocks of Life)について
日本の国家「君が代」に出てくる「さざれ石」に関係しています。「君が代」の歌詞をもう一度考え直した時、千代に八千代に続く長い時間の中で、小さな石が岩になるまでの過程を描いていることに気づきました。それが、苔むすまでの長い時間の中で平和であってほしいという願いが込められていることに感銘を受けました。このような自然物をモチーフに、アウトドアや自然の中で平和を祈るというイメージで作りました。
―― 素材へのこだわりが強いですね。
素材や意味にこだわることは非常に重要です。作品が見た目だけで評価されることもありますが、その背後にある願いや意味、コンセプトが大事です。それがなければ作品は薄っぺらく感じられてしまいます。例えば、バッグの取っ手の部分にパラコードを使うことも、CHUMSのルーツに関連していて意味があります。パラコードを自分で編んでカスタムもできる。それがただの製品ではなく、アートとしての意味を持ちます。アートは視点を与え、気づきを促すものであり、そういうきっかけになるような作品を目指しています。
―― では、アートはどういう存在ですか?
アートの存在や意味は時々によって変わります。祈りだったり、救いだったりすることもありますが、最近は態度としての存在が大きいと感じています。アートに向き合う態度や姿勢が重要で、純粋な心で向き合うことが大事だと思います。例えば、絵を描いたからといってそれがアートではなく、その表現に向き合う姿勢や態度こそがアートなのです。食べ物や今日の集まり、何かを生み出そうとすること自体もアートです。
―― ダンスやヒップホップカルチャーからの影響もありますか?
ダンスやヒップホップカルチャーもアティチュード(態度)が重要です。自分もストリートカルチャーから来ているので、態度が何事にも通じると思います。将来的には不思議なおじさんのような存在になりたいです。子供たちが面白がり、大人たちも楽しめるような遊具やアートも作りたいと思っています。
―― 毎日のルーティンや取り組みについて教えてください。
身体がちゃんとしていないと心技体が崩れてしまうので、身体性にはこだわっています。壁画もかなり肉体労働なので体力は重要ですね。トレーニングは週3で必ず行くようにしています。もう一つのルーティンはパスタ作りです。僕は食もアートだと思っています。食べることは見た目や匂い、食感、音など五感を使う体験ですし、食べたものは体の一部になるので、非常にアート的な行為だと思います。
―― 今後の目標や考えていることはありますか?
最近は他のクリエイターたちをサポートすることにも力を入れています。彼らが育つことで社会に還元していくことが大事だと思っていて、それも一つのクリエイションであり、個人で作品を作ること以上に大きな意味があると感じています。自分自身もプレイヤーとして作り続けたいですが、他のクリエイターを育てることも重要だと思っています。
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