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CHUMS アーティストコラボ第5弾 かせきさいだぁ
毎シーズン多様なアーティストを招聘して展開するアーティストコラボレーションシリーズ。
今季のゲストは、90年代初頭から現在までラッパーとして活躍する傍ら、 デザインやアートの領域でもその創造力を表現し続ける多才人、かせきさいだぁさん。
2025年のCHUMSシーズンテーマ『LOVE & ADVENTURE』と かせきさいだぁさんによるあそびゴコロを融合した独自の世界観をお見逃しなく。 かせきさいだぁ
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かせきさいだぁ / KASEKICIDER

1995年、1stアルバム『かせきさいだぁ』でデビュー。現在までオリジナル・アルバムを6枚リリース。
ポップ・ミュージックの歌詞を引用したラップで注目を集め、今日では日本のヒップホップ界で強い影響力のあるミュージシャンの一人として知られている。

ミュージシャン、ラッパーとして活動する一方、イラストレーター・漫画家・文筆家・作詞家とジャンルを問わず幅広く活躍するその姿はまさにヒップホップ・アーティスト。
アクリルやマーカーを用い、シルバーの背景、ポップな作風が特徴の作品を手がけている。
絵画作品では、歴史的名作をオマージュした「名画シリーズ」が近年注目を集めている。

Special Movie in CHUMS CAMP

Interview with かせきさいだぁ

遊びの名人、かせきさいだぁ
軽井沢のライジングフィールドで行われた「チャムス・キャンプ」にて、今季コラボレーションすることになったアーティストのかせきさいだぁさんに冒険心や平和愛について、あれこれお話を伺った。
90年代初頭、日本ではまだ指を数えるほどしかいなかったラッパーとしてメジャーデビューまでしている。
その才能は音楽だけでなくデザインやアートにおいても独創性に富んだ作品ばかり。

かせきさんが見出す〈チャムス〉の良さは僕らにとって再確認したくなる新しい視点でもある。

音楽と並行しながら
少しずつはじめたアート活動

Q1. チャムスの今年のテーマがラブ&アドベンチャーです。学生の時は桑沢デザインに通われていて、そこからアーティストになったこと は冒険だと思います。
桑沢に通っていた頃、文化祭で友人がラップをしているのを見て、自分もライブでラップを始めるようになりました。
そのとき一緒に活動していたのが、同じく桑沢に通っていたスチャダラパーのBOSE などで、彼らと「桑沢ナイト」というイベントを自分たちで主催していました。
まだ日本でヒップホップが始まったばかりの時代で、ラップをやる人も少なく、どうやってやるのかも誰もわからない。 でも、「日本語でラップはどうやるんだ?」とか、「スクラッチってどうやるんだ?」など試行錯誤しながら、仲間たちと一緒に音楽に没頭していったんです。
Q2. 学生時代からデザインと音楽の両方に取り組まれていたんですね?
そうです。音楽だけで生活していけるなんて思っていなかった時代なので、ちゃんとデザインの勉強もしながら活動していました。
桑沢を卒業後はナムコでアルバイトをし、ファミスタっていうゲームのグラフィックを描く仕事を4~5年していました。 当時の仕事場では最新のタブレットで絵を描いていて、その技術は今でも役立っていますよ。
Q3. そこから音楽活動も本格化したのですね。
はい。インディーズでファーストアルバムを出して忙しくなり、ナムコの仕事も続けられなくなって退職しました。 1995年にデビューし、メジャーデビューは1996年。でも99年には契約を切られてしまったんです。
そこから音楽と並行して、2000年代からアート活動も少しずつ始めました。 下北沢のモナレコードって喫茶店で展示をしたり、絵のキャンバスに挑戦したりと、新しいことを取り入れていきました。 少しずつ仕事としてアートが広がっていき、今ではデザインもアートも自由に続けています。
Q4. 楽曲制作についてお聞きします。どのように曲を作られているのでしょうか?
昔は曲作りをすべて他のアーティストにお任せしていました。
ファーストとセカンドアルバムの頃は、すべて人に作曲をお願いして、自分はリリックに専念していましたね。 ラップは4拍子の曲ならどんな曲にも合わせることができるので、リリックの内容だけ伝えて、音楽の方向性はお任せしていました。 自分が思い描くよりも、意外性のある方が面白いと思っていたので、アレンジや音の選び方もすべて委ねるスタイルでした。
ただ、一曲だけ「じゃっ夏なんで」という曲の歌詞には半年かけました。 デビュー前のことですが、一切の妥協をせず、後悔のないものを一度作ってみたいと思ったんです。でも半年もかけてしまうと、プロの世界では生きていけないと気づいて、その作り方は一度きりにしようと思いました(笑)。
それ以来、時代や流行に左右されないようなリリックを意識して作り、今でも色褪せない楽曲作りを心がけています。

日本人にも合うカラフルでかわいいデザイン

Q5. 最近ではご自身でも作曲されているとか?
はい、そうなんです。2010年に活動を再開した頃から少しずつ作曲も学び、自分で曲を作るようになりました。
最近は、若い世代のアーティストも1人で制作する人が多いですよね。僕もその流れに触発され、いろいろなことに挑戦しながら続けています。
Q6. コロナ禍で大変だったと伺いましたが、その時も活動を続けられたんですね。
コロナ禍でライブがゼロになり収入が途絶えた時は、本当に焦りました。
最初はバイトをしようかと思ったのですが、「好きなことで何とかできないか」と考えて。絵の展示もできなかったので、インスタに絵を載せて「欲しい人いますか?」と聞いてみたところ、反応がありました。 それから同じ絵を何枚も描いて送り、30枚以上描いたと思います。
今では音楽とアートの両方で活動できることを、本当にありがたいと感じています。
Q7. 日々の中で好奇心や冒険心を保つために、どんな工夫をされていますか?
そうですね、好奇心や冒険心を保つためには、まず自分の作品を他の人に見せてみることが大切だと感じています。
特に絵やデザインも、最初は自分が楽しいからやっているんですが、他の人からのフィードバックをもらうと新しい発見がありますし、もっと良い作品を目指そうという気持ちが湧いてきます。 誰も褒めてくれないものに固執するのではなく、やっぱり褒められる方向に自然と向かっていくんですよね(笑)。それが作品作りの面白さの一つだと思います。
好奇心を保ち続けるためには「売れる」という観点も大事にしています。
日本では「売れる」ということに対してネガティブに捉えることも多いですが、私はそれをポジティブにとらえています。売れるということは、それだけ人と繋がれる機会が増えること。 誰かの役に立ち、人との交流が生まれるのはすごく楽しいですし、いつも黒字で回すことで、次のチャレンジも続けられるようになります。
好奇心を刺激しながら、生活と結びつけていくことが自分のスタイルですね。
Q8. チャムスとのコラボで印象的なエピソードについて
今回のコラボで、表参道のチャムスのお店に行ってみたのが印象に残っています。 全商品が揃っているところを初めて見て、とても驚きました。店内には卓球台まであって(笑)、遊び心が詰まっていて、すごく面白い空間だなと思いましたね。
チャムスのアイテムは、他のアメリカのアウトドアブランドとは少し違っていて、色合いが日本人にも合うようなカラフルでかわいいデザインが多い。 アースカラーの多いブランドも素敵なんですけど、チャムスは明るい色を使って「外で楽しく遊ぼう!」というメッセージが伝わってくるんですよね。

自分自身もアウトドアは好きですが、本格的なキャンプよりは、釣りとかちょっとした遊びをする程度です。
子供の頃から釣りをしていて、20代からはルアーフィッシングに夢中になりました。エサを準備しなくてもいいところが楽で(笑)。
釣りをするときも、自然の中に身を置く感覚が好きで、川のせせらぎや風の音を感じながらリールを巻くのが心地よいんです。 最近は、リールのカリカリ音がしないようにサイレント機能付きのものに替えました。音がしないと、水の音や自然の音に集中できて、一層リラックスできるんです。
釣りをしていると、「人間が自然を支配するのではなく、むしろ自然の一部として存在している」という感覚になることができて、それがとても気持ちいい。まるで自分が川の生き物の一部になったような感覚ですね。 こうして自然と触れ合うことは、リフレッシュにもなっているのかもしれません。
子供の頃の釣りの記憶が根本にあって、それを今でも楽しんでいるという感じです。

無理のないスタイルで長く楽しむ

Q9. チャムスキャンプで遊んだこと、遊ぼうとしていること
今日は撮影ばかりだったので、明日はちょっと遊んでみたいなと思ってます。特に斧投げがあるらしいので、ぜひやってみたいですね。
ただ、皆さんにアドバイスしたいのは、アウトドアを楽しむときは無理せず、自分が「これ好きだな」「これ楽しそうだな」と思う部分だけを取り入れてほしいということです。

日本人って完璧にやらなきゃって思いがちですが、気楽に楽しんでいいんです。 僕も釣りをしますけど、だいたい1~2時間くらいで十分です。それ以上やると疲れちゃうから、短時間で「楽しい!」って思える範囲で終わるのがベストなんです。 あと、遠出してまで釣りをするのも気が進まないので、近所の川に行って、サクッと楽しむスタイルです。近くなら天候が悪くてもすぐ帰れるし、準備も楽ですしね。
アウトドアでキャンプするのも楽しいですが、無理にテントで寝なくても車で休むだけでも十分。自分に合った無理のないスタイルでやった方が、長く続けられて楽しみも倍増すると思います。

以前、レコード会社から「今の若手アーティストとコラボしませんか?」と提案を受けたことがあるんですが、あまり気が進まなくて断ったこともありました。 好きな人とならやりたいけど、無理してやるのは違うかなと。楽しかったはずのことが辛くなると、趣味そのものも楽しくなくなっちゃうので、何事も無理せず、自分の好きなところだけ取り入れるのが一番だと思いますね。
Q10. 愛のある平和な世の中になるためにメッセージをください。
平和で愛のある世の中にするための僕のメッセージは、まず自分ができることを少しずつ積み重ねていくことだと思います。

難しいことをする必要はなく、僕の場合はゴミ拾いをしています。 たとえば、釣りや山登り、公園で遊ぶときに気づいたゴミを拾うんです。風で飛ばされちゃっただけで気づいてない人も多いから、僕が拾うことで少しでも周りが綺麗になればと思っています。
また、挨拶も大事です。「おはようございます」とか「こんにちは」とか、ちょっとした声掛けだけでも、その瞬間に「あ、この人は自分に敵意がないな」と感じてもらえることが平和への一歩だと思います。挨拶することで、「ありがとう」が自然に増えれば、人との関係がもっと温かいものになりますよね。
それから、ゴミ拾いのアクションをもっと楽しくしたいです。アウトドアブランドが、かっこいいゴミ袋や便利なトングを作ってくれたらもっと気分が上がりますし、子供たちにも「ゴミモンGETだぜ!」って言えば、喜んで一緒に拾ってくれるんです。

ゴミを拾うことも、挨拶することも、大きな変化には見えないかもしれませんが、こういう「小さなことを丁寧に積み重ねる」行動が、平和な世の中に繋がっていくと思います。
音楽やアートも素敵ですが、人のためにできることって実はもっと身近なところにあるんですよね。
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